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なぜ、家が半壊していたのか分からないが俺はオレンジ色に沈み始めた空を見上げて、制服を着た。
やばい。絶対に、遅刻だ。
携帯画面を見ようとしたら、蜘蛛の巣状に割れていた。
やばい。俺がやったのか。
真相は分からないまま、俺は夕日が沈みかけた空を横目に学校に走った。
なぜなら。
なぜなら今日は、俺の記念すべき転校初日だったからだ。
きっとホームルームぐらいは間に合うだろう。そう期待で胸を高鳴らせて、俺は学校へと走った。すぐに息が切れたので、バスに乗ったけれど。
転校したら、地元からものすごく離れたんだ。高校デビューならぬ、転校生デビューをしようと決めていた。
本名も山田一郎っていう平凡で覚えにくい名前だったから偽名の『法皇院 麗美治(ほうおういん れびじ)』という美麗で格好良くておしゃれな名前を名乗った。」親父にはその場で頭を叩かれたが、その名前で貫き通した。
麗美治として、俺は転校生デビューしたいんだ。
電車に乗っていて、まだ帰りのホームルームに間に合いそうだった俺は、メロス並みに走った。友達や可愛い妹は居ないけど、走ったのだった。
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