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一年B組。そこに走っていく。
下校する生徒や部活動に向かう生徒がちらほら見える中、B組だけがまだホームルームが終わっていなかった。
「えー、多数決の結果、同数一位が出た」
先生の声がする。先生が黒板にチョークで何か書き出した瞬間、俺は助走をつけて走った。
一番目の窓から飛び込めば、きっと生意気すぎると目立ちすぎて仇になる。
俺は二番目の窓から、教室へ飛び込んだ。飛び散る破片、刺さる破片、まるで俺を歓迎するかのようにキラキラと輝く破片を見ながら、俺は開いている先生の目の前の机に座った。
「では、この二つに絞りなおして投票しなおすぞ」
血で前が見えなかったが、ばれずに机に座ることができた。
遅刻ではない。教室に溶け込んだ瞬間、遅刻とは言わずセーフとなるのだ。
黒板を見ると、日付と日直の名前の隣に大きく名前が書かれていた。
『転校生:法皇院 麗美治(山田 一郎)』
「がああああああああああっ」
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