「YOU、霊!?」

4/11
前へ
/11ページ
次へ
なぜだ。俺は血塗られた両手を机に叩きつけた。 なぜなんだ。なぜ、捨てたはずの本名を、捨てたはずの本名が、新しいニューネームの横に、ニューネームの横に記されているんだ。  俺の転校生デビューはなんだったんだ。  なんで黒板に俺の名前が書いてるんだ。  もしかして俺抜きで、朝のホームルームで転校生の紹介を終わらせたんじゃないのか。  俺の人権はどこだ。  俺が、寝坊しないように七つの財宝、目覚まし時計を駆け、アラームを二分ごとに設定して、スヌーズもぜんぶかけたのち、ゲームのボックスガチャで徹夜しただけじゃないか。緊張して眠れなかった俺抜きで、転校生紹介が終わってるなんて、酷い。 「麗美治くん、すごい血だけど、大丈夫?」  肩をツンツンされ、横を向くとポニーテールの可愛い女の子が俺にハンカチを差し出してくれていた。ポニーテールには、俺が飛び込んだ時にガラスの破片が刺さっている。 「え……好き。あ、いや、大丈夫。ありがとう」  ハンカチを受け取りながら、ふへっへへっっと気持ち悪い笑顔で応えると、美少女もふんわり笑った。 「良かった。あとは麗美治くんだけだよ」  美少女は黒板を指さす。  すると黒板には『ココア味:正正正』と『バニラ味:正正正』と書かれていた。 「えっと……これは何?」 「これはね、同担拒否投票」 「どうたんきょひ投票!?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加