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なぜだ。俺は血塗られた両手を机に叩きつけた。
なぜなんだ。なぜ、捨てたはずの本名を、捨てたはずの本名が、新しいニューネームの横に、ニューネームの横に記されているんだ。
俺の転校生デビューはなんだったんだ。
なんで黒板に俺の名前が書いてるんだ。
もしかして俺抜きで、朝のホームルームで転校生の紹介を終わらせたんじゃないのか。
俺の人権はどこだ。
俺が、寝坊しないように七つの財宝、目覚まし時計を駆け、アラームを二分ごとに設定して、スヌーズもぜんぶかけたのち、ゲームのボックスガチャで徹夜しただけじゃないか。緊張して眠れなかった俺抜きで、転校生紹介が終わってるなんて、酷い。
「麗美治くん、すごい血だけど、大丈夫?」
肩をツンツンされ、横を向くとポニーテールの可愛い女の子が俺にハンカチを差し出してくれていた。ポニーテールには、俺が飛び込んだ時にガラスの破片が刺さっている。
「え……好き。あ、いや、大丈夫。ありがとう」
ハンカチを受け取りながら、ふへっへへっっと気持ち悪い笑顔で応えると、美少女もふんわり笑った。
「良かった。あとは麗美治くんだけだよ」
美少女は黒板を指さす。
すると黒板には『ココア味:正正正』と『バニラ味:正正正』と書かれていた。
「えっと……これは何?」
「これはね、同担拒否投票」
「どうたんきょひ投票!?」
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