「YOU、霊!?」

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なぜだ。俺はただ転校生デビューしたかっただけなのに。 どうしてこうなったんだ。 「俺がもしココアを選んだら」 「バニラが死ぬ」 「バニラが死ぬ……」 なんで恐ろしいパワーワードだろう。 「じゃあ俺がバニラを選んだら」 「ココアが死ぬ」 「し、ぬ……」  なんて怖い。こんなの投票を使った殺人漫画みたいな展開だ。 恐ろしい。俺は、誰も殺したくないぞ。 「先生、投票異議あり、俺、期間限定有り、君、死にたまふことなかれり」  急に立ち上がった男が、手をラップ調に動かしながら教卓の方へ歩いていく。 「こんな投票、ノー遺風残香、いつも誰か死ぬ天生、だからはっきり言おう」  頭から残光を放つ先生に、ちゃけらっとDJのように頭を回しながら、その男は言う。 「この中に、投票で死んだ生徒の霊が紛れている」 「は!?」  その男の発言と同時に、一斉にクラスの皆の視線が俺に集まった。  いや、確かに血は沢山出てるが俺じゃねえ。俺は今日、初めて投票に参加する善良な生徒。 「さっきから、投票を同票にして、多数決を終わらせないようにしている霊がいる」 「ほんとうだ! クラスの人数と投票数が合わない」  今頃?  こんな黄昏時になるまで、投票数がおかしかったの気づかなかったの。  だから遅刻した俺がホームルームに間に合ったの? 「違うわ。終わらせないんじゃない。誰も命を落とさないように守ってくれてる霊ってことよ。そうよね、麗美治くん」 「あ……ええ、はい」 間違いなく隣の美少女は霊ではない。真っ先に命を落とす選択を俺に強いてきたのだから。
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