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「ココアとバニラは、同担拒否する必要ない。……共存できるんだ」
俺は『バニラ×ココア』と書いたのち、教卓を叩いた。
「某ファミリーパックは、必ず二種類の味になっているんだろう。だったら、バニラとココア、二人組になって食べればいい。もし、――もし片方だけが残ったら、今度は一人になるまで戦わないと、その味を独り占めできないんだ」
教室がざわめきだす。ようやく、クラスの皆はその穴に気づいたようだった。
「つまりこの投票はやめよう。無意味な戦いになってしまう」
『ココア×バニラ』でもいい。解釈違いにならないように、そちらも書いておく。
決まった。俺は転校生デビューが決まった。
「あーあ。それが狙いだったのに。最後の一人になるまで多数決を取るってね」
「美少女ちゃん……」
「残念。半分は残っちゃったね」
「俺、デート行くし。もう逢魔が時終わるし」
沢山の犠牲の上で、ようやくこの戦いの終止符が打たれた。
誰もがそう思った時だった。
突然、教室のドアが開くまでは。
「あれ、なんだ。この教室」
入ってきたのは、――さっき成仏したはずの先生だった。
残光が光っているのも、そのまんまだ。
「おかしいな。なんで誰もいないのに電気がついているんだろう」
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