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「おい、知ってたか?
横山さんってバリバリの出世コース直線定規人だったっていう話…」
「そうなのかっ?!
全然そうは見えないよなぁー…」
「付き合いもいいしおどけるし、
定年間近だっていうのに説教じみた話をしないところがすごいよ。
そして、我の歴史を語ってやろう! っていったことも言わない。
リタイヤしたジジイは、そんな話ばっかしてくるかんな」
「それ、オレも嫌だな…
…次の課長ってそのタイプらしいぞ…」
「うへっ!!
横山さんに逃げ込むことにしようかなぁー…」
「無理難題を横山さんだけに押し付けちゃダメだとオレは思うな」
「…わかったよ…
…それもそうだよなぁー…
いつもいつも助けてもらっているようなもんだからなぁー…
…だけど、何が横山さんを変えたんだろう…」
「今話してらっしゃった全てが嫌になったからですよ」
横山は笑みを浮かべて、同僚ふたりに目礼をした。
ふたりは背筋を伸ばして、少し深めに会釈をした。
「…ああ、すみません…
噂話なんかしちゃって…」
「いいんです。
…ボクはある日捨てたんですよ。
その全てが嫌になったので、
そのついでにプライドも…」
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