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「……分かって……る……、俺だって……遼さんを……」
俺だけのものにできたら、どんなにいいかって。アンタだけのもんになりてえ――って、ずっとずっと夢見てきたんだから!
視線だけでそう訴えてくる紫月を抱き潰す勢いで攻め続けた。出会ってから互いに溜め込んできた想いが堰を切ったようにあふれ出て、高窓から覗く月にまで届きそうだ。
「愛してるぜ、紫月――! ぜってえ逃がしてなんかやらねえ。ぜってー放さねえから……覚悟しろ――ッ!」
凄むような台詞とは裏腹に、その声音はそこはかとなく甘くて、そしてとてつもなく優しい。
一目見たその瞬間から、互いに魅かれ合った。その想いを胸の内に秘めながらも、全く表せずにきた。そんな二人の想いが堰を切り――若頭領だとか、囲われ者だとか、そんなことはどうでもいい。互いの瞳の中に互いだけを映し、熱に潤ませ、愛しさに緩める。そこには二人だけの甘い世界があるのみ――。
- FIN -
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