Chapter 8

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翌朝、ゴルフに行くために、おれは五時に目が覚めた。早起きをするのには、まったく苦にならない。息子の大地もおれに似て、そうである。 逆に、早起きが超苦手な妻の紗香は、隣でおれが起きる気配を感じたのか、なんとか自分も起きて朝食の支度をしようと、ベッドの上で強烈な眠気と闘っていた。 元来の、端正かつ愛らしい顔は微塵(みじん)もない。 たった今出土されたばかりの縄文時代の土偶(どぐう)が、ひさしぶりに差す日の光を浴びたため、糸みたいな目をさらに細めて「ま…まぶしい…」とでも言ってるかのような、超ブサイクな顔をしてもがいている。 おれは朝っぱらから噴き出した。 そして、そのあまりにも「かわいい」姿を見て、まるで新婚のときみたいに、妻のくちびるに軽く、ちゅっ、とキスをする。 「起きなくていいさ。朝食はゴルフ場でとるから……おまえは、ゆっくり寝てな」 紗香はやっぱり超ブサイクな土偶の糸目のまま、天龍か?長州力か?と間違いそうになるほどハスキーな声で「ごめんね」とつぶやき、ふにゃりと笑った。
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