Chapter 8

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クローゼットの隣に白木のワードローブ、その隣に同じシリーズのチェスト、その向かいにはオークリーやタイトリストそしてコンペの商品でもらったマスターバニーなどのゴルフバックがいくつか並んでいる。 さらにその隣にある、おれが出張の際に使うゼロハリバートンのシルバーのキャリーケースに、かつての紗香の誕生日にプレゼントしたダミエのペガス45のキャリーケースが、寄り添うように置かれてあった。 そんな部屋のほぼ中央に、ダンボールが十箱、鎮座していた。 ……いったい、なにが入ってるんだ? しばし、呆然と(たたず)む。 そのとき、玄関でガチャガチャと音がした。 ドアが開いて、ぱたぱたと足音がして、この部屋をひょいと覗く気配がしたので、振り向く。 ……紗香だった。 「あっ、今日着くんだったわ、それ」 彼女はこともなげにそう言って、 「遅くなってごめんなさい。すぐにごはんにするわね。阪神百貨店のデパ地下で、いか焼きの『デラバン』っていうの買ってきたわよ。美味(おい)しいんだって」 リビングの端にあるキッチンへと向かった。 鼻歌まじりで、ご機嫌そうに。 ……おいっ、紗香っ!この状況を説明しろよっ!? っていうか。 ……おいっ、おれっ! 自分のカミさんに、ちゃんと訊けよっ!?
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