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私の知りうる限りの歴史、史実をストックから紐解いては彼女に尋ねた。結果……面白くもあり、落胆も混じった答えが返ってきた。
一部の史実は事実であるが、真実とはかけ離れたものであるという事。それらに関わる人物の話なども聴いた。
人が自分たちを一つの種族と見なして記してきた歴史には、ほころびや歯抜けが多々あるということだ。
彼女もすべてを知っているわけではなく。理由は、その場所にいなかったからだという。
出会ったときのように、ふらりと世界の何処か一ヶ所にいたのだろう。彼女はひとつきりの存在のようだ。
面白いと思えるものは……今では失われてしまった技術。未来に当てはまりそうなものから、古にひっそりと息づいていた魔法とも呼べる技術。
複雑すぎて理解できなかったが、錬金術の類などは金を積んででも知りたいと思う輩がいるだろう。
大体のことを尋ね終わると、次は彼女自身について質問を重ねた。
これについては、なんともすっきりしない部分が多かった。名前などは、忘れてしまったと言われたくらいだ。
名前も忘れ、出生……彼女は人間ではないようだが、生きてきた年月も長くはあるが、正確には覚えていないと。
こうなってくると、本来の姿は無形なのではないかとさえ思えてくる。
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