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彼女いわく『人の姿で在りたい』と願った時から人間の形をしているらしい。姿形は、時代により変えているらしいが。
個人的に気になったのは、いったいどういう身体をしているのだろうかと。飲食物は口にしていた。
人の姿、というからには臓器が欠けているということもなさそうだ。普通の人と同じ、と彼女は言った。
背に翼がある時点で普通の人ではないのだけど。自由でいたいから持っているとのこと。
存在すること自体に食物の摂取は必要ではないらしい。食べられるが、栄養にもならないのだろう。排出もされないといっていた。
医者でなくともばらして見たい気もするが、私はまだ罪人になるつもりはない。
彼女の与えてくれる知識や情報には非常に興味深いものも多い。だがそれを繋ぎとめておきたいとは思わない。
私が興味を抱いているのは彼女という存在自体だ。それ以外は付随するものにすぎない。
そもそも、必死になってまで何かを繋ぎとめたいと思ったこと――私にはあっただろうか?
もともと異性の友人は少なかった。いや、同性も同じようなものだが。
それでも他人との親密なやりとりに憧れていた時期はあり、遊んでいたこともあった。
数えられる範囲の出来事であり、後腐れのない関係ではあったが。
通っていた大学を優秀な成績で卒業した私が就職先に選んだのは、小さな企業。
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