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だって、君は何にも変わっていなかったから。他人の空似だ、と思うには、君はあまりにリオそのものでした。
そこで、僕は君にミルクティーを振るまおうと思ったのです。あのミルクティーは僕にとっても思い出の味で、特別な日に一人で飲むためだけに店に置いてあったので、誰かに振るまうのは初めてのことでした。
そして、そのミルクティーを飲む君の表情を見て、僕は君がリオだと確信しました。
本当は、すぐに君にこの話をしようか悩みました。
できなかったのは、僕は今アレンではない、ということが気にかかったのと、もう一つは、僕がもうすぐ寿命を迎える短命だったからです。
では、何故今、手紙に書いて君に渡そうと思ったのか。
それは、僕がまたいつか、どこかの未来で、リオ、君に会いたいと思ったからです。
姿かたちの全く変わらない君は、形は違えど、僕と同じ奇妙な運命のもとに生まれてきた人間なのでしょう。
今までの人生をどう過ごしてきたのか、僕には想像もできませんが、きっと別れも、辛いこともたくさんあったでしょう。
深く人と関わろうとしていないのは、傍から見ていてもわかりました。
そして、どれだけの時を独りで生きてきたのだろうと、そう思いました。
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