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僕には生まれ変わる度に家族がいて、新しい友人もでき、その時与えられた寿命を全う出来ました。
でも、年も取らず、きっと死ぬこともない君は、そういう人とのつながりを避けているのではと思ったのです。
そこで、僕は寿命を迎える前にこの町を出ようと考えました。
一度別れた僕たちが、またどこかで出会うことができたら、それはとても素敵なことのように思えたのです。
そして、そのための別れは死に別れではない方が良い、と僕は考えました。死に別れてしまうと、心の穴はとても大きなものになることを知っているからです。
待っていてください。僕はきっと、また君に会いに行きます。
そうしたら今度は、たくさんお互いの話をしましょう。君と僕の奇妙な運命について。それから、他愛もないことを。
僕は君に会えて、本当に嬉しかったです。この町に来てくれてありがとう。
名残惜しいですが、ここで一度筆をおくことにします。
今は一度、お別れです。
それでは、さようなら。またいつか、何処かの未来で。
店主のアーロ、かつての君の師、アレンより』
僕は手紙を読み終えると、宿を飛び出して店に走った。
店にはクローズの掛け看板と共に、『本日をもって閉店しました。店主 アーロ』と張り紙がしてあった。
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