またいつか、何処かの未来で

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 彼はこの町から出ていったのだ。行先は聞いていないし、きっとこの町の誰にも、彼は話していないに違いない。  俺は扉の前に立ち尽くした。  もう何年も流していなかった涙が、自然と零れ落ちていった。  どうしようもない寂しさと、温かさで胸が一杯だった。  またいつか、何処かの未来で出会えたその時は、あのミルクティーを飲みながら、積もる話をたくさんしようと、そう心に誓った。         
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