またいつか、何処かの未来で

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 「アレン先生。……あなたは、死ぬことが怖くないのですか?」  俺は恐る恐る聞いた。  すると、先生は答えた。微笑みを浮かべたまま、穏やかな声音で、まるで何でもないことだとでも言うように。  「怖いよ。すごく怖い」  けれども、そう言った上で、先生はこう続けた。  「でもね、人はいつかは、みんな死ぬんだよ」  僕が意味を掴めずに首を傾げると、先生はさらに目元のしわを深くした。 「例えば、明日事故に遭うかもしれない。重たい病にかかるかもしれない。いつ何が起こるかなんて、想像するとキリがないだろう? ……短命だろうが長命だろうが、当たり前に来る明日なんてないんだ」  先生はそう言うと、まっすぐに俺の目を見た。  俺は聞いた。  「……先生でも、死を恐れて泣くことがあるんですか?」 「もちろん。僕も人だからね」  それを聞いた俺の目からは、言葉に応えるように涙が溢れていた。  先生は立ち上がって俺に近付き、そっと抱き締めてくれた。  やがて俺が泣き止むと、先生はもう一杯、ミルクティーを入れてくれた。  そして、向かいに腰かけて俺に聞いた。  「さて、リオ。君はどうしたい? 残りの人生を薬師として過ごすか、他の道を選ぶか。……今日が一つの選択の日だ」     
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