またいつか、何処かの未来で

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またいつか、何処かの未来で

 「やぁ、おはよう」 「ああ、おはよう」  この町に滞在し始めてからしばらくが経つ。  毎朝通うこの店の店主とは、すっかり顔馴染みだ。  俺の顔を見るなり、彼はティーポットに湯を注いだ。  「今日もいつもの?」 「ああ、頼む」  俺はいつも座る窓際のテーブルに向かい、椅子に座りながら答えた。  形式的に聞いてくるだけで、彼の手は質問をしている時から既に動いている。  オーブンにスライスしたパンを入れ、温めたフライパンでベーコンと卵を焼く。手際よく白い大きな皿にサラダを盛り付け、焼き上がったベーコンエッグとトーストを乗せる。  木製のトレーにその皿と、温めたティーカップと、茶葉を取り除いたティーポットを乗せ、それごと俺の目の前に差し出した。  ちょうどの金額を差し出すと、彼はそれを受け取ってカウンターに戻る。  彼はいつもカウンターで、コーヒーや紅茶を飲みながら、のんびりと本を読んでいる。  そうして、店に客が足を踏み入れると、微笑みながら温かい声で挨拶をするのだ。
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