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『雨の中』
蒼、もしくは灰色の静けさの中で 数えるのは瞳を過ぎる残像
銀にも透明にも思える針金のような、糸のような煌き
舌をのばしても すぐ消えてしまう
飲み干せるほどに深いのなら 鉛にも似てくる
アルミ缶を叩く音 わびしさをにじませて
古びた傘で叩く音 懐かしさをまとわせて
夜に降れば重くて朝に降ればかろい滴
ひとつ ふたつ みっつと数えて 結局は混ざり合う
数える行為自体が時間稼ぎ
ぱらぱら ザアザザ
しとしと ぴ っちゃん
鼓膜次第で音色は変わる
包まれてしまえば たぶん焦がれていた
無音 雨音の隙間のしじま
雨の中 誰かを待ちわびながら 夢想
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