第四章.夏を往く

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                      二.  綺羅は、何やら勢いづいているダンとヨシにつきあって、桜木町のいつもの演奏場所へ向かった。  どうしてくれるんだ  あの場所が好きなのに  歴史の価値を知ることなく  お金の価値に征服されたのかね  あんたらが建てたクソッタレは  丈夫にできてるみたいだね  ションベンひっかけるにはうってつけさ  恥ずかしい限りの破壊を繰り返し  恥辱の上に立つションベンたれども  俺達 歌うことにしたぜ  今夜 仲間と一杯やろう  夜空でも眺めながら    最後の曲が終わると、今夜唯一の見物客である綺羅が拍手をした。   「よかったよ。いい曲だね」  綺羅は実際、二人の曲が好きだった。  二人の影響を受けて、近頃はよく音楽を聴いている。  もちろん、お気に入りはパンクロックだ。  密かに、自分も歌ってみたいとさえ、綺羅は思うようになっていた。 「あたしね、二人がむやみに発情してるように歌ってるのが、いいと思う」 「……そういうつもりは、ないんだけどな。ギターに、パンティ被せてるわけでもねえんだぜ?」  ヨシは、綺羅のおかしな批評に苦笑していた。
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