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二.
綺羅は、何やら勢いづいているダンとヨシにつきあって、桜木町のいつもの演奏場所へ向かった。
どうしてくれるんだ
あの場所が好きなのに
歴史の価値を知ることなく
お金の価値に征服されたのかね
あんたらが建てたクソッタレは
丈夫にできてるみたいだね
ションベンひっかけるにはうってつけさ
恥ずかしい限りの破壊を繰り返し
恥辱の上に立つションベンたれども
俺達 歌うことにしたぜ
今夜 仲間と一杯やろう
夜空でも眺めながら
最後の曲が終わると、今夜唯一の見物客である綺羅が拍手をした。
「よかったよ。いい曲だね」
綺羅は実際、二人の曲が好きだった。
二人の影響を受けて、近頃はよく音楽を聴いている。
もちろん、お気に入りはパンクロックだ。
密かに、自分も歌ってみたいとさえ、綺羅は思うようになっていた。
「あたしね、二人がむやみに発情してるように歌ってるのが、いいと思う」
「……そういうつもりは、ないんだけどな。ギターに、パンティ被せてるわけでもねえんだぜ?」
ヨシは、綺羅のおかしな批評に苦笑していた。
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