第五話.青い鷹ども

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 だが、いざ色について話してみると、珍しく四人の好みが一致した。  四人とも『青』が好きだったのだ。  メンバーの中じゃ、一番の気遣い屋のミツが言った。 「『青』をバンド名に入れて、考えてみよう」  それから、あれこれとみんなで言い合っているうちに、意外なことに前歯がないタケの言ったことがみんなの心をたたいた。 「俺ぁ、『鷹』が好きだ。強くって、高く飛べるから。俺達だって、強くって、飛べるはずだろ?」  残りの三人はしん、と静まりかえって、それから、口ぐちに、「鷹、いいな! タケにしては妙案だな!」と叫びだした。 「んじゃあ、『青い鷹』だな!」と、ヨシが言った。  けれどダンがハッと思い出したように、「まてまて、四人だぜ?『達』とかつけようよ」と案外と細かい注文をしてきた。  几帳面なミツが「それもそうだな」と言うと、四人は自分達にふさわしい『複数形』について色々と考えはじめた。  はたから見ると、チンパンジーがもめているようにも見える。  綺羅は、そんなふうに楽しそうにしている無邪気な少年たちを、うらやましそうに見ていた。 「『ども』だ! こいつぁ、しゃれてるぜ。バンド名は『青い鷹ども』にしよう!」
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