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突然のぶっとんだ発言に、二人とも、コンクリートみたいに固まってしまった。
「なんだって?」
「泊まるとこがないの。家がなくなったから」
こんなことを言っているくせに、少女は今も感情を見せない。
ヨシはどうしていいか分からないことを伝えるために、半笑いしている。
「冗談だろ? どんなオチを用意してるんだ?」
「マジで、家がねえのか?」
そう答えつつも、ヨシは、この少女のことが面白くなってきていた。
妙な緊張はするものの、この少女とやりとりをしていると、まるで自分が一味違う男になった気分になってくるのだ。
「タダとは言わないわ。手伝えることがあれば、手伝ってあげる」
「なんのお手伝い?」とは、二人とも言えなかった。
少女の方が、自分達よりも色々な意味で上手なのは、明らかだった。
「ダン、おまえ、母親と二人暮らしだろ? 一つ、部屋空いてたじゃん」
ヨシがそう言うと、ダンは困った顔をした。
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