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少女は、彼が風呂から上がってくるまで電気もつけないでイスに座っていた。
ダンはすっきりとした顔で戻ってくると、タオルで髪を拭きながら、すぐに、「おっ、すまねえ。そこの部屋に布団が敷いてあるからよ。テキトーに寝てくれや」と一気に言った。
少女が一瞬、体を震わせた。
「そう……今更だけど、ごめんね。あなたのお母さん、怒んないかしら?」
「なら、朝まで、サッカーゲームでもやるかい? 俺、よく友達と一緒に朝までやるんだ。少しは不自然じゃねえべ」
「……」
我ながらセンスのない提案だと反省したのか、彼はすぐに違う話題をふった。
「そういや、おまえの名前は? いくつなんだ?」
「好きに呼んでいいわ。あたし、自分の名前が嫌いなの。年は十六よ」
「めんどくせえ奴だな。ドラマ気どりか? もう、今日は寝るわ。んじゃあ、おやすみ」とダンは一気にまくしたてた。
「ねえ」
「あ?」
「明日、あなたのお母さんには、私から説明しとくから」
「そいつあ、助かる」
ダンは自分の部屋に入り、カギを閉めた。
そのまま布団にくるまり、ダンは寝付けない夜を過ごした。
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