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第一話.路地裏で
一.
「変な奴」
ダンは、そう言われていた。
仲間はダンがそう呼ばれたいんじゃないかと思っていたようだし、彼もそう言われることを気に入っていた。
ダンは今、自分の部屋にいる。
窓を開け、生温かい風を感じると、うーんと背筋をのばし、壁に立てかけてある『オベーション』のエレキアコースティックギターを手にとり、CとGとAコードだけで適当に音を弾きだした。
真夜中になると、トイレに行きたくなったのでダンは弾くのをやめた。
トイレから戻りデスクの前に座ると、携帯電話が鳴った。
ディスプレイに写った名前を確認すると、ダンはニヤッと笑った。
「もしもし」
「よお、ダン。今夜は暇か?」
「ちょうど、やりかけの数独を解こうと思ってたところ」
「また三の居場所について悩んでたのか」
「ああ、どうも三ていう数字はいけねえらしい。なんか謙虚な感じがしてて、俺が好きな数なんだけどな」
「とにかく、ギチョウ(桜木町)のいつものとこにいるからよ」
電話の向こう側から、せわしない雰囲気が伝わってくる。
ダンは家を飛び出し、バイトで貯めた金で購入したディオに跨ると、夜の灯火に向かって走っていった。
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