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俺が学校に行くために通っている道には大きな踏切がある。幹線道路沿いにあるその踏切は毎日車や人の往来が激しい。俺のように通学のために利用している学生も多く、毎朝この時間帯、周りは制服を着た同世代だらけになる。
俺がそいつを見つけたのは入学して間もなく、踏切の遮断機が降りていて大勢の学生でごった返しになっていたときだった。周囲は友達同士で会話をしながら遮断機が上がるのを待っていた。俺はというと、独りで登校途中だったのでずっとスマホを見ながら待っていた。踏切が降りている間に、すでに電車が2本は通り過ぎた。
『この遮断機、結構長い時間降りているんだな』
そんなことを思いふと、顔を上げるとグレーのブレザーの服を着た中学生くらいの女の子が独りでいるのが視界に入った。
『この時間って、中学生の子もいるのか』
女の子の周りにはサラリーマンの人たちがいたが、誰も女の子のことを気にしていない。女の子も友達がいないのか、誰とも話さないしスマホも触っている様子はない。ただじっと前を見ている。
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