7時42分の話

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『それにしても、何分待てばいいんだ』  スマホの画面を見ると時刻は7時42分。ずいぶん待っている気がするが、まだ2分ほどしか過ぎていない。  ガタンガタンと電車の音が近づいてきた。 『この電車が通ったらさすがに上がるか』  顔を上げたとき、例の女の子が踏切をくぐって線路内に入ったのが見え、女の子はそのまま電車に向かって飛び込んだ。電車は女の子が飛び込んだのと同時に、ブレーキをかけるわけでもなく、俺の前を線路からはみ出ることもなく通り過ぎた。  遮断機は電車が通り過ぎたことで上がる。そして待っていた人たちや車が一斉に動き出した。その中で、俺だけが時間が止まってしまったかのように動けないでいた。 「今、女の子が・・・飛び込んだはずじゃ・・・?」  呆然と立ち尽くしていた俺は、行き交う人にぶつかってようやく体を動かすことができた。行き交う人々は自分たちのいつもの日常を繰り返している。踏切もいつも通りで何も変わっていない。女の子が電車に飛び込むという非日常的な出来事は、俺の目にしか映っていなかったらしい。 「もしかして、ただの見間違いだったのか・・・」  女の子が電車に飛び込むなんて、そんなわけがないと思い、俺は学校に向かって歩き出した。
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