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試しに別の時間に踏切に行ってみたが、女の子は現れなかった。どうやら7時42分の時間にしか現れないようだ。土日は学校に行かないので分からないが、女の子はほぼ毎日健気に7時42分になると電車に飛び込むようだ。何が女の子をそこまでさせているのだろうか。俺は少し、女の子に興味を持つようになっていた。
踏切で後ろから女の子を2週間ほど見続けていたある日。俺は少しだけ女の子の近くに寄った。実は後ろからしか女の子を見たことがないので、もう少しはっきりと見たくなったのだ。セミロングの髪の毛にグレーのブレザー。ただ、やはり幽霊なのか少し他の人よりも透けている気がする。そして7時42分。女の子はいつも通り飛び込んだ。ガタンゴトンと無機質な轟音を慣らす電車が通り過ぎると女の子は消えていた。これが最近俺が見ているいつもの光景なのだが、女の子に近づいたことで、女の子が飛び込む前の緊張感が俺にも伝わって来た。
何気ない朝に起きるほんの数秒の緊張感。それも俺にしか見えていない非日常が、不謹慎ながらも俺にある種の刺激を与えていたというのもあり、俺は毎日女の子が飛び込む瞬間を、心待ちにするようになっていた。
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