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「ごめん…。他に好きな人ができた。」
朝、仕事に行こうとしていた時だった。
突然の事で何も言えず、驚きと緊張で体が一瞬強張り、立ち尽くしたまま、申し訳なさそうに言うその姿をただ、見つめる事しか出来なかった。
そんな私を気遣う事も、気にする事もなく、さらに言葉が続く。
「ごめん。本当に。 僕には君だけだった。ずっとずっと君がすべてだった。本当だよ。でも…でもさ…。なんていうか…。二股とか浮気とか君、許さないだろ? 嫌だよね? だから…もう…ごめん。 許してくれ… 」
別れ話? え? 私いま、別れ話されてるの? え? 頭がうまく回らない。
そんな事より、仕事、仕事に行かなくちゃ。
こんな話になんて、かまってられない。
聞いてる時間はない。知らない。
私からは何も言う事はない。
黙って歩き出したらまた、言葉が聞こえてきた。
「待って、いいんだね? 僕がいなくなっても…。」
なんなのだろうか。
仕事に行こうと玄関のドアに鍵を掛けてる時に、背後から突然ベラベラと。
相手にしても大丈夫なのか、相手にしない方が安全なのか分からない。
この人を見た事あるような気もするけど、まったく知らない気もする。
記憶にも印象にも残ってない。
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