【美しき友よもう一度】

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【美しき友よもう一度】

幼い頃から、"視えるはずのない"ものが"視えた"。 後々、その存在が妖怪だと気づいたが、僕にはあまり人との違いがわからなかった。 首が長い人型の妖怪、不思議な色の爬虫類の妖怪、毛玉の妖怪、手足が何本も生えた魚の妖怪、河童。 最初に視たのは幼稚園の頃。積木を組み立てるのに苦戦していた僕をからかうように声をかけてきた数匹の妖怪たち。 『ヒトの子よ、そんなことしてて愉しいのか?』 「たのしい?……別に。みんなやってるから僕もやったほうがいいのかなって……」 『その齢でつまらないことを考える童よのぉ……』 『そんなことしてないで♪オイラたちと遊ぼうぜ~~ぃ♪』 奇妙でヘンテコな姿の怪物に僕は怖がることもせず、差し伸ばされた歪な手を素直に掴んだ。 楽しそうだった、という気持ちもあるが、昔から同年代の友達には興味が持てなかった。 かといって年上とも合うわけでもない………正直に言えば『人』に関心がなかった。 『おい、ヒトの子。このゲームを一緒に遊ぶぞ』 「妖怪にゲームなんてできるの?」 「いや、鬼ごっこをしよう。最近の童はゲームばかりしている。たまには運動もするべきだ」     
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