第1章

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今何が不安かって、僕がいなくなってからの娘の事です。 たぶん僕は今の僕の年の娘を見ることはできませんので、 その頃娘は元気でいてくれるだろうか、とか 僕がいなくなってから、娘は病と闘う人生を送ることになりはしないか、とか 気が気じゃない。 死んでも死にきれない、わけです。 僕には長寿日本一を目指すか、 今最善を尽くすかの二つしか、手だてはありません。 最善とは人によって違い、 人は人の最善をねたみ、 あるいは罵倒します。 いずれにしても今多くの人は最善に心をかきむしられている。 明日をどうやって、 見ようかしら。 僕は娘に笑うという字をあげました。 震災前に、これからの世界を憂いてプレゼントしたんだけど、 まさかこんなに早く便利な道具になるとは 夢にも思わなかった。 その道具が、僕ら家族の今の最大で最強の武器。 この道具を使って、未来を信じるか。 簡単には負けないよ。なめんなよ。 “気の毒に”なんて、言わせねぇぞ。
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