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「しばらくあの店には行きたない。行ってもリエのことを思い出すだけやん。」
「そんなことは行って見んとわからへんで。またドキッとするような子が見つかるかもしれんで。それでも深入りはせん様にな。また同じテツを踏むことになるだけやし。」
秀哉は焼き鳥の串を頬張りながら、完全な上から目線で陽平に忠告している。
「そんなな、エエ子がワンサカおるわけやないやろ?」
「せやけどな、この間、ヨーヘイ好みのおっぱいがおっきな子が入ったって噂やで。」
「もう少しブランクをもらえんか。ホンマに真剣やったんやから。」
煽るようにしてジョッキを空にした陽平は、店員におかわりを注文すると、天井のある一点を見つめるようにぼおっとし始めた。
「あーアカン、重症やな。しばらくはそうやって酒に頼るしかないな。」
「はああ。」
陽平のため息は、今宵も深く店の奥に漂い始める。
「慰めてやりたいところやけど、ジュンちゃんに今日は行くって約束してあるから、オレは行って来るで。おまいさんはもうしばらくここで溜息とおしゃべりしとき。唐揚は置いてってやるから。」
そう言うと、秀哉は上着を持って立ち上がった。
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