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=新しい出会い=
久しぶりに店のドアを開くと、ドアの中では見覚えのあるボーイが見覚えのある制服で待ち構えていた。
「いらっしゃいませ。お久しぶりですね。」
そんなに顔馴染みでもない事を自覚していた陽平は、ボーイの言葉に少し驚かされる。
「えっ?ボクのこと覚えてるんですか。」
「もちろんですよ。ところで今日はどの子を指名します?リエさんはもういませんけど。」
やっぱり陽平のことは覚えていたようだ。
「新しい子が入ったって聞いたんですけど。おっぱいの大きな子が。」
するとボーイはニヤッとした顔で答えた。
「寧々さんのことですね。週に二、三日しか入ってない子なんですが、今日はいますよ。どうされます?」
「じゃあ、その子でお願いします。」
「はい。わかりました。」
ボーイがナンバーを書き入れた手元のメモは指名受付に回され、陽平はそのままフロアに案内されていく。
やはり見覚えのある光景だった。薄暗い店内はミラーボールがくるくる回っている。やがて指定された二人がけのシートで待っていると、髪を金色に染めた女の子がやってきた。
「こんばんわ。初めまして寧々です。よろしくね。」
陽平は一瞬言葉に詰まった。想像していた感じの女の子とはかなり違った雰囲気だったからである。それでも戸惑いながら言葉をひねり出す。
「こんばんは。初めまして。久しぶりやねんこの店。」
しかしながら、これだけを言ったまま言葉に詰まってしまった。
そして寧々の顔をじっと見つめていると、
「どうしたん?そんなに見つめられたら恥ずかしいやん。」
「いや、ゴメン。想像してた雰囲気と違うてたから。」
「思てたよりブスやったから?」
「ちゃうちゃう。十分に可愛いやん。キラキラに髪の毛染めてる子って初めてやったから、ちょっとビックリしただけやで。」
「普通やで。その辺にいる女の子やで。今日は指名してくれてありがとう。」
陽平はもっとキラキラした雰囲気の女の子を想像していた。それに反して綺麗過ぎず、可愛い過ぎず、化粧も薄く、紅も付けてはいなかった。髪は染めていたが、今どきの女の子なら普通だろう。ショートにカットされたヘアスタイルが良く似合っており、まるで以前から知り合いだったような雰囲気の馴染みやすい感じだっただけに驚いたのだった。
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