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-前回までのあらすじ-
ユウキ、スズリ、ナタリアの三人は協力してキャンサーを倒す日々を送っていた。
楽しく暮らす三人だったが、日本では児童誘拐事件が連発していた。
さらに、言語世界にも変化が起こる。大阪、名古屋ゲートが収縮を始め、東京ゲートが拡大し始めた。
それに伴って、東京ゲート付近での戦闘は激化。毎回苦戦を強いられるユウキ達だった。
大阪ゲートが九割型収縮したことを受け、言語癌対策室大阪支部のキャスターが東京に来る事になる。
▽
-前話の戦闘からの続き-
「はぁっ!!」
俺のかかと落としがレベル3に入る。
地に沈んだそれに脇目も振らず、正面から襲い来る他のレベル3に拳を振るう。
鳩尾に刺さった拳を〈炸裂〉。
体内から吹き飛ばした。
気付かなかった。背後から迫っていた三体目。
大きく鈍器を振り上げ、俺を潰さんと降ろされ、
しかし、地面から生えた壁に遮られた。
「ユウキ君!」
ナタリアが壁に触れる。
壁から壁を生やす。即ち地面と平行に伸びた壁がレベル3を吹き飛ばした。
「助かった!ありがとうナタリア!」
「油断するのはまだ早いよ!次が来る!」
同時に、低い羽音が聞こえた。
巨大な昆虫型のレベル3がこちらに向かって飛来。
三本角をギラつかせて、キシキシと気味の悪い声で笑う。
「〈仮名:霊言熱機関〉!!」
ゴゥと音を立てて燃え上がる炎。
右拳に巨大な炎球を作り、撃つ。
旋回し回避。再び突撃を開始する。
「人の祈り。神の宿。立ち入る事の許されぬ神域。傷つくことを知らぬ霊脈。招き給え囲い給え。今両の手を打ち、神の御殿に人如きが篭る!
〈絶対加護域〉!」
ナタリアの詠唱。二人を壁が囲い、外部と完全に遮断される。
音が消えた暗闇で、俺の炎だけが灯り。
「ユウキ君!」
「わかった!」
叫び、右腕を上に突き上げる。
「行くぞぉぉぉっっっ!!!」
かっこいい詠唱は、霊言霊を使う俺にはない。
ただ、気合いを込めるのみ。
威力より範囲。素早く動くあの虫型を仕留める一撃をイメージ。
イメージに合わせて腕部のアーマーが変形。
まるで大きく口を開けた竜の頭部のようなフォルムへと変わる。
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