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竜の口内に炎が集まる。
先ほどよりも巨大な炎球。
「いいぞ!ナタリア!」
「〈解除〉!」
一斉に崩れ去った壁。一気に世界が広がる。
視界左端に、旋回する虫型を見る。
「おぉらぁぁっっっ!!」
体を捻りながら撃ったのは、広範囲へ広がる炎のブレス。
確かに虫型を捉え、灰へと還す。
「はぁ......、はぁ......。まだいるのか!?」
体力が限界に近い。が、視界には何十体のレベル1、2がいる。
少し離れたところで戦っているスズリも、遠目で見ても息が上がっているのが見えた。
スズリと合流し、次々と敵を倒して行くが、キリがない。
「まずい。このままだといずれ言霊が尽きる!」
二人は体内の言霊を消費している。激しい戦闘が長引けば能力が使えなくなる。
「どうする!?ゲートまであと300メートル!もう引けないぞ!」
二振りの大太刀で大量の敵をなぎ倒しながらスズリが叫んだ。
「ここで、なんとか抑えるしか──」
ない。そう言おうとしたとき、キャスターの触腕が鳩尾に入る。
「かはっ!」
肺の空気が全て吐き出され、地面を転がる。
「ユウキ君!」
ナタリアが駆け寄るが、一人欠けた時点でこの戦線は完全に崩壊した。
なだれ来るキャンサーに、なす術なく──
「──なんやあんたら!えらいボロボロやんか!」
背後から、少女の声で関西弁が聞こえた。
鳩尾を抑えながら立ち上がる。
目線を向けると、廃車の上に立つ一人の少女がいた。
黄色のキャストアーマー。
髪を後ろで一つにまとめ、白い歯を見せて笑う彼女。
その両手に、彼女に似つかわしくない金属光沢ある黒いマシンガンを二丁携えている。
「頭下げとき!ウチの弾当たっても知らんで!」
そう言って銃を構える。俺たちは慌てて伏せた。
同時、眩いマズルフラッシュと乾いた火薬炸裂音。
空薬莢をばら撒きながら、彼女は二丁のマシンガンを叫ばせ続ける。
「 ウチの能力、〈マシンガントーク〉が放つ銃弾の嵐に再装填はいらん。隙なく程なく、全員蜂の巣にしたるわ!」
彼女の脚部アーマーが変形。収納されていた、また左右一丁ずつのマシンガンが自動照準で撃ち始める。
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