0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
計四丁の一斉掃射。少しの後、銃声が止んだのを見計らい顔を上げ、後ろを振り返る。
そこには、宣言通り蜂の巣にされた大量のキャンサーが横たわっていた。
「す、すげぇ......!」
眼前の光景に、オレは思わず声を出した。
そんなオレを見て、スズリは少女の方へ顔を向ける。
「相変わらず、恐ろしい殲滅力だな。コトハ」
そう笑った彼に、少し驚いた顔をした後、コトハと呼ばれたその少女は
「えへへー。そやろそやろ?」
嬉しそうにそう笑うのだった。
▽
「そういうわけで紹介する。スズリ、ナタリアは面識があると思うが、この子は今日から本部のキャスターとなる──」
「──引金コトハや!あんたが噂の新入りやな?よろしく頼むで!」
諏訪さんの言葉に重ねるように元気よく話す彼女は、ズイと一歩こちらへ近づいて来た。
「話は聞いてるで。遺言霊を使うらしいやんか!珍しいこともあんねんな!あ、これ大阪土産。通天閣クッキーや!めっちゃ美味しいで!あとで食べてや!そうそう聞いてや、この前な──」
「──こんな感じに一回喋り出したら止まらん」
今度は逆に諏訪さんが重ねてきた。
「大阪ゲート収縮。及び東京ゲート付近の戦闘激化のため、今日から彼女には本部助っ人として戦ってもらう」
「ま、ウチが来たからにはもう何もせんでいいで!全部ウチが倒してまうからな!」
彼女はまた笑った。
よく笑う子だ。そういう印象を抱いた。
▽
「ナッタりーん!」
「コトちゃーん!」
うふふと、手を繋ぎくるくる回る二人。
女の子のキャスター同士、二人はとても仲が良かった。
後に、ナタリアを外へ連れ出してくれてありがとう、と言った彼女は、ずっとナタリアの身を案じていたらしい。
「さっきはありがとう。強いねコトハちゃん」
そう話しかけたオレに、彼女は答える。
「当たり前や!ウチはこの二年、曲者揃いの大阪ゲートを一人で守ってきたんやで?」
自身たっぷりにいう彼女はしかし、なぜ何処か辛そうな笑みを浮かべるのだろうか。
「コトハちゃーん!!」
そのような思考に至った時、シダユリの叫び声が聞こえた。
「げっ!!」
反応し、とっさに背後を向いたが遅い。シダユリがコトハに抱きついた。
シダユリの胸にコトハが埋まる状態。
「んんん!」と呻き、なんとか抱擁から逃れたコトハは心底嫌そうな顔で言った。
「変態」
最初のコメントを投稿しよう!