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「変態じゃないよ?久しぶりに会ったから抱きしめたくなっちゃって」
「いや、アンタからは逃げたほうがいいって、ウチの中のウチが言っとるわ」
「そんなの幻聴よ?ほら私の胸の中に飛び込んでおい──」
「──身代わりっ!」
「わわっ!?」
コトハはナタリアの背を軽く押し、シダユリの元へとよろめかさせた。
「はいホールド~」
「んんー!」
今度はナタリアが餌食となったが、
「......やっぱりまだ痩せすぎね」
と、ナタリアの背中を触りながら言うのを聞いて、このスキンシップの真意を悟った。
「スキンシップの真意を悟ったと思ったやろ」
「エスパーしかいないのか言語癌対策室」
思わずツッコミを入る。
「あの人は基本優しいし、気の回るいい人なんやけど、やけど、あのハグの真意はただウチらの体触りたいだけやで」
未だナタリアを離さないシダユリを見て、呆れ顔で彼女はそう言った。
ナタリアは、そろそろぐったりしてきていた。
▽
翌日。
『B3です!本部のキャスターの方は至急司令室へ!』
数分後、ゲート前に並んだ四人。スズリが口を開く。
「レベル2以下はコトハに任せる。レベル3を俺とユウキで撃破。ナタリアはコトハへの攻撃を防いでくれ」
「「わかった」」
オレとナタリアはすぐ頷いたが、コトハは首を横に振った。
「ええてええて。ウチ一人で倒せるし。前でチョロチョロされたら、怖くて撃てへんわ」
「でも......」
「ウチの攻撃が通らん用な奴が出てきたらバトンタッチするし、そん時は頼むで!」
完全に開いたゲートに、ひらひらと手を振りながら入っていくコトハ。
「......まぁ、効率的ではあるな」
少しの逡巡の後、オレ達は彼女の後を追った。
▽
大量の空薬莢。積み重なったキャンサーの亡骸。
二丁のマシンガンを下ろした彼女は、背後でただ待機していたオレ達にピースサイン。
「よーっし!この後食堂でなんか食べようや!ウチめっちゃお腹減ったわ!」
そう言ってオレの横を通り過ぎようとして、
「あっ......」
フラッとバランスを崩し、コトハがオレの方に倒れてきた。
「おっと危ねぇ!」
とっさにキャッチ。
一方彼女は慌てて離れ立ち上がると、
「あはは!すまんな。躓いてもーたわ!」
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