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「大丈夫だよ。オレ達も仲間が増えた」
諏訪さんにそう笑って返した。
隣にコトハはいない。
「......そうだな」
諏訪さんも、薄く笑った。
「司令!言語癌を殲滅せよ!......頼んだぞ、みんな!」
▽
ゲート前に、コトハはいた。
「ごめんな!アーマーの調節あったから、直でゲート前に集合させてもらったわ!」
ヒラヒラと手を振る彼女はいつも通り明るく、笑顔だ。
「まぁ今回も安心しいや。レベル4なんかウチがパパッと──」
「──コトハちゃん。今回はオレ達も戦う」
彼女の言葉を遮って言った。
「......何言うとんねん。足手まといやから下がっとれて言ったやろ?」
「言われたよ。でも違うだろ?君がオレ達を戦わせないのは」
彼女の目を、見て言った。
「木麻シト。君を庇って意識不明になった、君の相棒みたいにしたくないから」
ストレートな言い方だった。けれど、ここで言わなくちゃいけない。そう思った。
顔を歪めたコトハは、そして弱く笑った。
「......聞いたんか」
「ああ」
ゴゴゴと低い音を上げて開いていくゲートの前で、コトハは眩いゲートの向こう側を見つめている。
「シトちゃんはな、滅茶苦茶強かったんや。キャスターの中で一番強いって言われとった」
──対して自分は弱かった。
コトハは再び思い出す。
彼女との日々。
そして思い出せない。
彼女が倒れた理由。
▽
「うわぁっ!」
二年半前。マシンガンの反動で倒れていたウチを、少し離れたところからシトちゃんは笑っていた。
「なっはっは!コトハにそれはデカすぎるんとちゃうか?」
ウチより一歳年上の彼女は、その大きな目を細め、ギサギザの白い歯を見せて笑う。
「ええよ。無理しんとき。うちが全部倒したるさかい!」
瓦礫の山の上。迫り来るキャンサー達の群れに、彼女は一人で突っ込んでいった。
ウチは、ただその姿を見ていた。
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