予兆

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 何と小牧先生がポケットマネーで食後のデザートを差し入れしてくれた。 「きゃー!」 「小牧ちゃんサイコー!」 「食べたら後片付けしてメインイベントいくぞー!」 「おー!」  いよいよ肝試しかぁ。だいたいこういうのって二人一組でペア組むんだよなぁ。非リア充にはハードル高いってマジで。 「よーし! それじゃあルール説明!」  後片付けも終わり、宿直室のシャワーを交代で浴びて着替えた僕達は本館の昇降口(エントランス)に移動した。 「今からくじ引きでペア組んで、ルート通りに進んでもらう。んで、ちゃんと進んだってわかる様にスタンプラリーになってっから。ポイントになる教室で教卓にあるスタンプをカードに押して次に進む」 「もちろん肝試しなんだから、色々とあるよー? そう……色々と……ふふふ」 「ちょっと栗原ー! 脅かすのやめてよー!」  栗原が幽霊のポーズで低く笑う。ホント悪ノリ好きだよなー。 「んで、ポイントは3つ。3つのスタンプを全部集めたら最後に教室に戻る。以上!」 「うわ、最初のペアになったら次のペアが来るまで教室で待機じゃん! 怖っ!」 「ねぇコレ、男女ペア?」 「くじ引きだからランダム!」 「公平なんだか不公平なんだか……女子だけじゃ二人でも心細いよー」 「けど所詮は学校だし。ていうか男二人ってのもどうよ?」 「確かに言えてるー!」 「きゃー、八重っちー、こーわーいー」 「栗、俺がいるだろ? ……ってキモい! 裏声出すな!」  腕に縋りつく栗原とノリツッコミで返す八重山に皆が笑う。一部の女子の目が笑ってなかったのは見なかった事にする。夜よりも深い闇に触れてはいけないのだ。  公平なくじ引きの結果。 「あの……よろしくね? 柊くん」  マジか。一生分の運を使い果たしたかもしれない。けど本望だ。 「えと、こちらこそよろしく……桜庭さん」  僕の心臓、もつかな?
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