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「はぁー、正直めんどい事になりましたなぁ」
「あの、元の世界に戻れるんですよね? 私達」
もはや誰も疑わなくなってる。当然だ。だってどう考えても非現実すぎて、それが逆にリアルなんだ。
「はいはい。座標軸がズレた原因はいくつかに絞れたらしいんでね。あとは特定して対応するだけ。言うてもね、今日明日とはいかへんのですけどねー。ワテにもいつとはわかりませんのですわ。当局本部から連絡来るまではどないもこないもならへんのです」
「んだよソレー!」
「はいはい。こっちもねー、ホンマに困っとるんですわ。ワテかて休日返上でしてなー。ちゃっちゃと終わってくれたらこない面倒な事せんでもええんやけど」
「マジでちゃっちゃと終わらせろよ」
「はいはい。そしたら一番手っ取り早い方法、教えまひょか?」
え? あんの?
「あんなら言えよ!」
「ねぇ、どうしたらいいの?」
「全滅」
「「……は?」」
一瞬、何て言われたかわからなかった。それくらいあっさりと言われたから。
「全滅したらええんですわ。自殺でも寄生されるでもええ。とにかく全員の死亡が確認されたら、こっちの座標軸に固定してしまえばそれで終いですわ」
「そんな……!」
「最初からソレやらんだけええでしょ? 当局はきちんとしてまっさかい、そないな非人道的な手段は取らしまへん。ただ、方法の一つとして一番楽で効率的なのがソレって言うたまでですわ」
場の空気は張り詰めたままだ。
「それが嫌やったら、気張ってもらわんと。アンタらの世界は平和や。自分と同じ生き物を殺すんが禁忌になっとる。せやけどアレはもう人間やない。ただの宿主や。躊躇ったら自分が死ぬ。アレと同じになりたなかったら殺すしかないんや」
ナニワさんの言葉は場の空気よりも重く響いた。
「誰か一人でも寄生されてみい。戻った時にどないな事になります?」
場の全員に衝撃が走った。この世界の寄生虫が元の世界に来てしまったら。元の世界にバイオハザードが起きたら。
「あっちの次元でも殺し合いが始まりまっせ」
それを止めるには、絶対に僕達が犠牲になる訳にはいかないんだ。
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