プロローグ

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「何で夏休みなのに学校行かなきゃなんないかねー」  暑い。そりゃ夏だから当たり前だけど暑い。まだ8時台だってのに太陽はカンカンと照りつけてアスファルトが熱を反射して、上から下から灼熱地獄。 「既に帰りたい……」  そもそも今日は登校日でも何でもない。じゃあ何で学校行くのかって言うと終業式の日にクラスの目立つグループの奴らが言った事が発端。 「学校でさ、肝試しやんねぇ?」  小学生かよ。って思ったけど、意外に賛同者がいたんだコレが。 「夜の学校とか面白そう! やりたい!」  同じく目立つ女子のグループ。こうなるとノリと勢いの高校生だ。あっという間に、やる前提で話が進んでいった。 「学校の許可とか無いとマズくない?」 「バレたらアウトっしょ」  キャンセルになるかと期待したけど。 「小牧ちゃんにお願いしようよ!」  小牧ちゃんってのはクラス担任。女の先生だけど話がわかるって生徒からの支持率が高い。つまりノリがいいんだ。 「こらー、席につきなさーい。高校生にもなって小学生みたいな注意させないでよねー」  おっとりというか、ダルそうに入ってきた小牧先生。 「小牧ちゃーん! 夏休みに学校で肝試ししたーい!」 「ここはいつから小学校になったの?」 「いいじゃーん! やろうよ、肝試し!」 「許可取んのめんどい」 「そう言わず!」 「そこを何とか!」 「小牧サマ!」 「あーもー、うっさい!」  小牧先生が出席簿で教卓をバンバン叩く。 「クラスの親睦会って事で一応、申請はしてあげる。けど確実とは保証出来ないからね?」  教室が歓声に沸く。けど僕を含めたクラスの一部、数人はリアクションが薄い。たぶん僕と同じ様に迷惑だと思ってるに違いない。もしくは勝手にやりたい奴らだけでやってくれ、と。 「クラスの親睦会だから申請通ったら全員参加ね」  小牧先生の言葉に数人全員が迷惑そうな顔をした。もちろん僕もした。
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