嵐の前の賑やかさ

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 午前中に役割分担を決めて午後から準備。 「やっぱりここは女子が調理で男子が肝試しの担当じゃね?」 「女子が全員、料理上手とは限らない!」 「まぁ高校生だしなぁ」 「母親の手伝いくらいならするけどねー」 「お菓子作りは好きだけど料理ってなると……それに一クラス分でしょ? 分量とかわかんないよー」 「男女合わせて30人。小牧ちゃん入れても31人。男子は食べるから二人分で計算しても40人分かぁー」 「後で徴収するとして誰が立て替えるの? けっこうかかるよ?」 「調味料は家庭科室の備品で賄うとしても食材がねー」 「高校生にもなってカレーじゃねー。小学生の調理実習じゃないんだしー」  あーだこーだで話が全然進まない。 「とりあえず料理作れるって奴ら挙手! 男女問わず! 人数は今はシカトで!」  数人がちらほらと手を上げる。二人、男子がいたのにびっくりだ。 「狭山と羽倉、料理すんの? マジで?」 「俺、家が自営で飯屋やってるから。中華料理屋っつーか大衆食堂っつーか」  狭山ん家って料理屋さんなのか。聞けば夏休みとかに手伝いしてバイト代もらってるらしい。 「僕は母親も働いてるからさ。家事は家族で当番制でやってるんだよね」  羽倉はおとなしめのグループにいる奴。小柄で童顔、これで女の子みたいな顔してたらショタ人気が出そうだけどフツメン。今も注目されて居心地悪そうにしてる。草食系男子に女子の注目はハードル高い。 「狭山なら大人数の料理に慣れてそうだな」 「あくまでも手伝いだから。親父の指示通りに作ってるだけだし。期待すんなよな」 「それでも慣れてるってだけで違うって」 「ハードル上げんなよー」 「んじゃ、このメンバーがメインとして。手伝いなら出来るって奴、挙手!」  ぱらぱらと手が上がる。 「砂糖と塩の区別つかないとか、何にでもチョコとかマヨネーズとか無しなー?」  栗原の言葉に「無い無い!」「ククパの地雷レシピは無い!」と皆で笑った。
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