明朝

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 ああ読者諸君、夜の街とはなんと恐ろしい。決して泥酔して正体を失くすまで飲むなどという失態をしてはならい。まして自分の世話をしてくれる人のいないような席では。 「お預かりした仕込み杖は仕上がっております。アイアンシールドピストルも入荷いたしましたがご覧になりますか」 「笑っちゃうわよね。こんな銃社会で刃ものだの大掛かりな盾なんて。でもそれが役立つのがしょうもないわ私の生業って。それで武器屋、あなた誕生日はいつなの。今日こそ白状しなさい」 「忘れました。何せだいぶ前のことですから」 「我が師プランシーも二百年ほど前ここへ訪れていたっていうから随分苦労してここを探しだしたのに。店主がつれないんでがっかりよ。せっかく当時と同じ店主がいるのに。ね、今日こそ答えて。あなたいったいいくつなの」  常連の上客なのだろうか。女もおそらく物騒な”生業”を営んでいるように思える。  男はぼそぼそと答える。 「商品は俺の生きた時代のものしか扱っておりません」 「まあ。あなたらしくもない。いつもは答えないのにご機嫌ね武器屋。なら六百歳以上はいってるってわけわね。いいこと聞いちゃった」     
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