明朝

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「わかったわよ。じゃあこの男、いくらなの」  コランドプランシー女史はため息まじりに言った。男はう、と顔をしかめる。  僕は不思議に思い辺りを見回すが武器屋以外に男は僕だけである。 「買うからちょうだい」 「売り物じゃない。これはうちの店員だ」  男はぶっきらぼうに言った。まるで僕にかまうなとでも言いたげだ。  ちなみに僕は店員でも売り物でもない。 「そんなこと言って〈契約〉はまだなんでしょ」  プランシーが腕組みをすると男はむっとした。  どうやらこの不気味な男は僕に妙な執着があるらしい。  僕がそう思ったところで男はおもむろに右腕を伸ばしすっと横に手を切る動作をする。  すると手の穴が、ヌグググググ、と動きだした。その動きは広がりと言えばいいのか蠢きといえばいいのか。言葉にし難い泡立つような奇妙な動きをした。女が息を飲む。穴は広がっていく。  その瞬間、僕の体は見えない何かに掴まれた。UFOキャッチャーの商品にでもなったようだ。腰のあたりから見えざる巨大アームに掴まれあっけにとられ、はたと気づけば実に気味の悪い事態になっていた。  僕の首から指が生えている。男の指だ。引きつった顔で右を見ると首から腕が続いている。それは男の肩へと繋がっていた。     
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