2人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前…なにしてっ…」
僕がはくはくと喘ぎ言うと、男の顔は得意げに女を見ていた。諸君、こんなことが起こりえるだろうか。今や男の掌は僕の首輪と化していた。つまり男の掌の穴に僕の首ははまっていた。
これ以上に理解しがたい状況を僕は思い描けない。
飲み潰れることがこんな目に会うほど罪深いことだろうか。
女は深くため息をつき華奢で綺麗な手で自らの目を覆う。
「契約済なんて…あなたどういう意味かわかってるの」
プランシーという女、よく見ればなかなかの美女である。
その見ず知らずの美女が直接に侮蔑と哀れみの視線で僕を射抜く。
「契約って何ですか。僕はただ昨日の夜酔って外で寝てしまっただけで。気づいたらここにいて…」
あれ、と思う。唐突に記憶が蘇る。僕はこの男に会ったことがある。確かバーだ。いつだろう。昨晩だ
。
僕はこの男と握手をしたのも覚えている。何の握手だったか。どうして恐れもせずにこんな風貌のものと話していたんだろう。ああ、酔っていたのか。僕はしこたま酔っていた。
最初のコメントを投稿しよう!