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見廻すと部屋中に奇妙な骨董品の類がところ狭しと並んでいる。壷やら使い方の分からない古めかしい機械、マニアが喜びそうな刀剣にスタンドライト、虎の仲間のような置物、剥製、盾のようなもの、凝った額縁のついた鏡などのインテリアも見受けられる。
こういった場所を正確には何屋というのか僕は知らない。
「余分なもん触るなよ。もうこっちはいいからじっとしてろ」
男がくぐもった声で言う。
「はい…」
男は身長が高かった。そう低くない天井に頭をぶつけないよう軽く首を屈めている。
筋骨隆々の体に黒いTシャツに皮のパンツ。そして僕の目が信じられないものに吸い寄せられる。
男はとてつもなくどでかいピアス穴を手のひらにこさえていた。もう一度言おう諸君、手のひらにだ。直径10センチほどの丸い穴。
あれは骨ごといっている。どうして指を動かせているのか全く分からず、僕が思いつく仕組みとしてはトリックアートくらいのものだがおそらくそれも見当違いだ。
そして極め付けは。さあ今こそ勇気を出そう。
恐ろしさのあまり触れていなかったが、極め付けに恐ろしかったのは彼の顔だった。
男の蒼白で硬い皮膚は象のようだ。そしてアリクイのような尖った長い口元。耳はそのような穴がこめかみあたりに空いているばかり。
目は落ちくぼみ眼球は見えずぽっかりと黒い闇がある。下顎はなくその削げたくぼみから皮膚と同じ一掴みの白い毛が生えていた。
仙人のような長いあごひげである。ああ恐ろしい。
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