明朝

9/15
前へ
/15ページ
次へ
 その時からんからん、とベルの音がする。男は自分の肩から何かを剥ぎ取るような仕草をした。その瞬間男は黒く長いマントを纏っている。ここはマジック用品店だったのだろうか。ぱっと見カオ●シであるとは口が裂けても言ない。 「コラン・ド・プランシー様、お待ちしておりました」  男は恭しく言う。 「久しぶりね武器屋」  部屋の物陰から現れたコランドプランシーは人間の女だった。ほ、と僕は気づく。今男は武器屋と呼ばれた。ここは武器屋であるらしい。  「武器屋…」  僕は呟いた。辺りを見回す。インテリアショップじゃなかったのか。古美術商とか、リサイクルショップとか、アンティークショップとか。どれも違ったらしい。なんという物騒な店で僕は寝ていたんだろう。いまさら血の気が引いていく。この男、おそらく堅気ではない。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加