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「だから、デッキ連れ出した・・・」
結生は上着のポケットから小さな紺色のジュエリーケースを出してきた。
「これは?」
「・・・見れば分かる・・・」
結生は私に向かってジュエリーケースの蓋を開けた。
光沢のある白い台座にはダイヤのリング。
「・・・常盤麻有さん、俺と結婚してください」
彼は頭を下げて、ジュエリーケースを私に突き出す。
「結生・・・」
結生のサプライズのプロポーズだった。
私の瞳には嬉し過ぎて、涙が溢れる。
「おいっ!?返事は??」
いつまでも、何も言わない私の顔を見る結生。
「嬉し・・・過ぎて…言葉が・・・出ない・・・」
嗚咽を混じらせ、返す。
「麻有・・・」
「・・・嵌めて・・・」
私は涙を堪えながら、左手を彼に向けた。
「分かった」
結生は私の薬指にダイヤのリングを嵌めてくれた。
船上での思わぬプロポーズ。
私達の順番はバラバラだけど・・・それでもいい。
私達の間に愛があるから。
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