第六話 魅力的な世界

27/34
前へ
/2047ページ
次へ
まるで私みたいっ! って、ひとりギャグを言ってウケたわ… 私はいつもそんなだった… でも今はひとりじゃないって思って、とってもいい気分なのっ! 巌剛様は足を止められたわ。 全然気づかなかったんだけど、右手には小さな石が。 全く反動をつけることなく、手首だけで上空に投げられたの。 『ボンッ!』という音だけが聞こえて、『ニャァ!!』と鋭い鳴き声を残してフローラは走り去ったの。 小石はどうやらフローラのおなかに当ったみたい。 ―― はあ、すごいわ… ―― って思って、すごく勉強になったの。 ここのボスはまだいるんだけど、この森を離れることはないの。 私が言い聞かせたから。 でも、その手下はあまり賢くないので人が来れば襲うの。 直立系の毛深いマグ三頭がゆっくりと現れて、巌剛様の前に立ち塞がったわ。 身の丈は、大きな巌剛様と変わらないの。 それは一瞬だった。 目にも止まらない速さとはこのことだって思ったの。 マグは一瞬にして草の上に倒れたの。 でも、死んではいないって思ったわ。 「最後の猛獣ですっ!!」 私がいうと、巌剛様はかなり驚かれてから、頭をかいたの。 そして何も言わずに構えられたわ。 私は一頭のマグの後ろ足を掴んで遠くに投げ飛ばしたの。 巌剛様は二頭、引き受けてくださったわ。     
/2047ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加