第六話 魅力的な世界

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―― 私は、猛獣… 見たこともないほどの怖い… ―― と、私が思った瞬間、巌剛様は私の遥か後方におられたの。 ―― くそっ! 逃がしたっ!! ―― 猛獣の私は、すごく悔しがったわっ! あ、これが… カノンちゃんに負けたと言った、覇王様の悔しさ… 私、すっごくうれしく思ったのっ!! 「強敵だと思って今は逃げましたっ!  申し訳ありませんっ!!」 巌剛様は大声でおっしゃったの。 「私、猛獣になっていましたから。  私も怖いほどの」 巌剛様は笑みを浮かべられてゆっくりと私のところに歩いてこられたの。 「そうですか…  それは素晴らしいですね。  ここのボスも震えているようですが…」 私は大声で笑ったわっ! 確かに、かなり奥の方でその気配があったの。 「今日から、ですか?」 私が聞くと、「今日で3回目です」と、巌剛様が答えてくださったの。 「ですが、もう来なくてもよさそうです。  最高の猛獣に出会えましたので。  ですが、他にも来る者がいますから、  相手をしてやってください」 私は大きくうなづいて、巌剛様の大きな腕にしがみついてお店に帰ったの。 … … … … … 「…うっ…  浮気?」 エラルレラが妙なことを言ったのでにらみつけたわっ! ゼン師匠は笑顔で私と巌剛様を見てくださったの。 「猛獣にやられたようですね。  左腕を?」     
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