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「いや、オレもおぼろげながらわかったかもな…
セイラの魂がどのようにして生まれたのか…」
ゼンは静かに言ったの。
―― 魂は覇王様が… ―― と思ったところで私も気づいた。
覇王様の荒ぶる気持ちが、木造のベティーを彫った。
その荒ぶる気持ちごと魂に反映された。
―― 覇王様、何か気に入らないことが… ――
「私もわかったわ…
覇王様もお若い時代があったってことよね…」
私が言うとゼンはうなづいたんだけど、セイラは私の言った意味がよくわからなかったようだけど、すぐに気づいたみたい。
「何が気に入らなかったのかしら…」
セイラが言うと、私たちは下を向いて目を閉じて、頭を振った。
「木造のでき栄えじゃないことは確かだろうな。
うまくできたから魂がわいたはずだ。
となると、誰かを憎む…
いや、妬む気持ち、だろうか…
ベティー様が大好きだったのは、
覇王様ではなかった、とか…」
「もうほとんど正解だけど、言っちゃう?」
私たちはみんな息を合わせて、セイルに向かって首を縦に振ったの。
「ベティー様はね、セイレス様が大好きだったんだよ。
セイント様のことはそうでもなかったみたい。
セイント様はベティー様をネコっかわいがりしたそうなんだけど、
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