第十二話 仏ブライ

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―― ああ、カノンちゃんっ!! 大好きっ!! ―― 「あ、はいっ!  性格まで大人になっちゃいますっ!!」 私は一押しの天使さんに変身したの。 服が少しきつかったけど、落ち着いたら服が伸びたわ… 一輝さんは笑顔で、ちあきちゃんはぼう然として私を見てくれていたの。 「…天使、さん…」 ちあきちゃんは私に駆け寄って抱きしめてくれたの。 ―― 深い、悲しみ… ―― 「ちあき様にはお父様も想い人もいらっしゃるではありませんか。  何も悲しむ必要はありませんわ」 「えっ?!」 ちあきちゃんは顔を上げて私を見てから一輝様を見たの。 「私にはわかるのです。  恋人のお名前は心一様。  小柄ですがタフガイ。  すばらしいお相手ですのね」 「…はい…  すごく照れ屋ですけど…  すごく好きです」 私を抱きしめるちあきちゃんの両腕にチカラがこもったの。 「どうか、この恋心を大切に。  すぐにうまくいかないかもしれませんが、  心一様もちあき様が大好きですからね」 「えーっ!  そうなんですかぁーっ!!」 ちあきちゃんは満面の笑みを私に向けたの。 「はい、照れ屋ですから。  ですので、あまりしつこくなさらない方がいいかもしれませんよ」 「…うっ!  …はあーい、気をつけますぅー…」     
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