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「この建物はオレたちが造らせてもらった。
セイラにいい訓練をさせてもらったからなっ!!」
「また機会があれば…
今でも…」
グラン様は両手のひらを広げて拒絶の意を現されたわ…
さすがにここでやっちゃダメだもの…
グラン様とお別れすると、女性の浴室で騒ぎが起こっていたの。
私、服を脱いですぐに浴室に入ったわ。
「ベティー様っ!
トラになっちゃダメですっ!
フローラもダメッ!!」
トラのベティー様は上目使いで私を見て、人間に戻られたわ…
「温泉には動物が欠かせないだろうが…」
―― あいかわらず豪胆だわ… ――
「ここの人たちは猛獣が怖いからダメですっ!」
「…まあ、師匠がそう言うのなら…」
私はみんなに謝ったけど、私の知り合いだと聞いてベティー様にも寄り添われたの。
「せっかく強くなったのにみんな逃げるばかりだっ!」
「強い者は強さをひけらかさない!
ベティー様は動物だけど、
ひとりくらいそういった動物がいてもいいんじゃないの?」
「…う…
覇王は何も言わないのに…」
「覇王様はそのままでいいって思われているのね…
だったら覇王様の意思に沿うようにしてください」
「…師匠も、覇王覇王だな…」
ベティー様は面白くないようでそっぽを向かれたわ。
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